『感染症 広がり方と防ぎ方』井上栄 著

要約

今、コロナウイルスの流行により世界は危機に陥っている。

様々な情報が錯綜するなか、私たちはこの感染症にどう対処するか考える必要がある。

人類は昔から病気と戦ってきた。そして病気を制圧する術を生み出してきた。

上下水道の設備や塩素消毒、ワクチン、居住環境の整備、行動様式の変化などが本書では挙げられている。

どんな手を打っても私たちが感染症の脅威から逃れることはできない。なぜなら、ウイルスも人間の変化に伴い、変化して生き残ろうとするからだ。

本書では今後対策を打っていかなければならない感染症として、新型インフルエンザ、エイズが紹介されている。新型インフルエンザは毎年作られるワクチンが効くとは限らない。もし、発生してしまった時の対処として著者は、感染者のマスク使用の徹底を促している。エイズの感染防止にはコンドームが必要不可欠である。日本はコンドーム使用率が世界でも高いらしく、その文化を衰退させてはならないとしている。

たとえ衛生状態のよい場所であってもウイルスの発生をなくすことは難しい。だから大切なのはウイルスの拡散を最小限に抑えることだ。そのためには疫学調査の体制を整え、ウイルスの伝播経路を知ることが重要だ。

 

感想

ウイルスの未知さを強く感じた。いくら住居環境をよくしようが、ウイルスはそれをかいくぐって生き延びようとする。ウイルスがどういうものなのかが分からない限り、私たちは今後も今のような状況が起こる可能性に注意し続けなければならないと思った。私ができることは、感染拡大を防ぐ行動をすることだけなのかもしれない。感染症に対してはそういったことしかできないからこそ、病気以外のこと、例えば経済、地球温暖化、戦争、虐待など感染の話ばかりになりがちな中で、メディアで目に触れない問題、でも確実にまだ存在する問題の解決の一助になれないか考える時間だと考えたい。